「〇〇」と「〇〇」は結局どっちが強いのか

 

 

注意

この記事では、シグルイの隠された物語を解説します。

シグルイをまだ読まれていない方は、ぜひ本編を一読されてから、以下の説明に進むことをお勧め致します。

 

 

藤木源之助と伊良子清玄は結局どっちが強いのか

シグルイは長編であり、物語が時には複雑で、また特徴豊かな登場人物も数多く出てきます。中心となるのは藤木と伊良子の物語ですが、その因縁関係が埋もれてしまうかもしれません。

そこで、藤木と伊良子の二人だけを取り出して比較してみます。そしてこの二人の特徴と戦歴などを振り返った上で、結論を出してみたいと思います。

対称構造としての二人

二人の特性

藤木と伊良子という二人の主要人物について、その特性を比較してみると、以下の表が出来上がります。

藤木源之助 伊良子清玄
剣の才能 凡才 天才
頭の回転 愚鈍 聡明
女性関係 奥手 遊び人
剣を振るう理由 生まれながらの侍のため 出世のため
顔の表情 仏頂面 柔和
親との現在の関係 農民の自分は死んだので無関係 売春婦の母を殺したので無関係

陰の藤木と陽の伊良子

藤木源之助は無口で感情表現が乏しく、何を考えてるのかがよく分かりません。そのため、周囲からは理解されない存在です。

そこで登場するのが、伊良子清玄です。頭が良く言葉が巧みで、顔の表情が豊かであり、いい女だと思えば迷うことなく誘い込みます。歯に衣着せぬ性格ではありますが、行き過ぎな部分が多く、うさんくさい存在だと思われています。

そして、この影と光という対称的な二人が、真正面から何度もぶつかり合います。

生涯全対戦成績

藤木と伊良子の戦いは、全部で四回ありました。

[第一戦]虎眼流道場

唇はとりたてて紅く、芳香をまとった伊良子清玄が道場にやってきた。

師範代藤木源之助はこの気取った男と対戦することになったが、冷静さを失う。伊良子が鍔迫り合いから、骨子術「指絡み」によって、藤木の右手人差し指と中指をへし折った。痛みと屈辱に耐え、藤木はなおも戦おうとするが、「そこまで」の声がかかる。

伊良子の勝ち

[第二戦]秋葉山 昆嶽神社

牛股権左衛門からだまし討ちをくらい、すでに脊髄に重傷を負った伊良子だが、虎眼流二代目をかけて藤木と戦うことになった。

伊良子は自信があり余裕たっぷりだが、対する藤木には秘策があった。偶然に発見した「獣が爪を立てるような剣の掴み」によって、神速で刀を振ることが可能になったのである。伊良子が先に木剣を振ったが、後から剣を出した藤木の攻撃が速く、伊良子の顎を直撃した。

藤木の勝ち

[第三戦]掛川 仇討ち場

伊良子は策略通りに岩本虎眼を殺害したが、藤木源之助が生きていたことは計算外だった。三重の仇討ち願いが受理されると、大衆が見守る中、盲目となった伊良子と藤木が戦うことになった。

伊良子には魔剣「無明逆流れ」があるが、藤木は牛股との特訓で、これに対抗する下段封じ「簾牙」を会得している。これで藤木に一切の死角はないかと思われたが、無明逆流れはその下段の防御をもろともせず、藤木の左腕を斬り落とした。

伊良子の勝ち

[第四戦]駿府城

剣の腕前において、「伊良子には敵わない」と藤木は認めていており、もう戦う気は無かった。しかし、徳川忠長の機嫌を取るだけのために、無理やりに伊良子との再戦死合が組まれてしまった。

病の藤木は恋の炎によって立ち上がり、伊良子にはさらなる出世を目指す野望があった。忠長と大名衆が見守る中、駿府城で決戦が始まった。藤木が最初に仕掛け、狙い通りに鍔迫り合いの形になった。伊良子の「指絡み」が出るかと思われたが、藤木の鍔迫りが伊良子の心臓を真っ二つにした。

藤木の勝ち

 

まとめ

シグルイにおける藤木源之助と伊良子清玄の性格は陰と陽になっており、対称的な関係である。

この二人の対戦成績は、四戦して引き分け。交互に勝ちと負けが入れ替わる戦いであり、この結果も対称的になっている。

よって二人は鏡像のような関係にあり、決してどちらかが一方的に強かったとはいえない。