中小企業診断士という面白い試験がある

 

中小企業診断士という、資格試験があります。この記事ではその試験の全体像と、その面白さについて解説します。

 

どんな資格?

中小企業診断士とは、会社を手助けするコンサルタントのことです。

具体的には経営の診断経営の指導、または教育訓練の業務などを行い、その資格を取ると経済産業大臣から一定の水準以上の能力を持つ人として登録してもらえます。国家資格の一つなので、難易度はやや高めです。

ただし税理士や薬剤師などと違い、中小企業診断士の肩書が無いとできない、独占的な業務はありません。

どんな試験方式なの?

試験は全部で3回あります。二次試験に進むためには一次試験に合格する必要があり、また三次試験に進むためには二次試験に合格する必要があります。

一次試験 (8月)

7科目を、マークシート形式で受験します。二日間に渡る試験です。

1 経済学 ミクロ、マクロを含む、一般的な経済学の試験。
2 財務・会計 財務諸表、原価計算、経営分析、投資の意思決定など。
3 企業経営理論 経営戦略、人的な組織の運営、マーケティング論が中心。
4 運営管理 工場の知識、店舗販売、流通に関する知識など。
5 経営法務 企業経営に関係する法律、制度、手続きなどに関する知識。
6 情報システム インターネット、パソコン、経営の情報化の知識など。
7 経営・政策 中小企業の実態と、その法規など。

二次試験 (10月)

四科目を、論述形式で受験します。一日で終わる試験です。

事例Ⅰ 組織と人事の知識など。
事例Ⅱ 最適な市場を創り出す活動、流通の知識など。
事例Ⅲ 生産と技術に関する知識など。
事例Ⅳ 財務・会計の知識など。

三次試験 (12月)

試験官と口頭でやりとりする、面接試験です。一日で終わる試験です。

私でも受験できますか?

年齢に制約はありません。学歴についても制限はありません。

よって中小企業診断士は、誰でも受けられる試験です。

ただし未成年者は、中小企業診断士の登録を受けることができません。なので実質のところ、成年以上が資格条件でしょう。

私でも合格できますか?

合格率

一次試験の合格率は約20%、二次試験の合格率も約20%、三次試験の合格率は約99%です。

もし一年で合格するとなると、20%×20% ×99%の確率計算の結果から、合格率は約4%になります。

ゆっくりでも

合格率から判断すると、決して簡単に合格できる訳ではありません。しかし数年かければ、ある程度は楽になるように作られています。

というのも、一次試験では科目免除という仕組みがあり、一度合格点を取った科目については、二年間免除されます。

また、一次試験の七科目を全て合格した場合は、翌年のみ一次試験を全て免除されます。

よって必ずしも毎回、一次試験を最初から、もしくは一次試験の全部を受けなくても良いのです。それらの場合だと二次試験に集中できる時間が増えるので、合格へ近づきやすくなります。

なぜ中小企業診断士面白い試験なの?

試験を通した発見

中小企業診断士はまず七科目を勉強する必要があり、知識の幅が問われます。

退職金の仕組みを作りたいがどうしたらいいのか、工場の生産率をどう上げるか、チームの中でのリーダーの役割はどうあるべきか、新しい生産設備を買うべきか止めるべきか、多角化戦略を取り入れるべきかどうか、どんな方法で商品を宣伝していけばいいのか。

これらの一部分については詳しい人でも、その他の全体まで熟知している人はあまりいないのではないでしょうか。

この試験は、仕事と会社について包括的な視点を養う、絶好の勉強する機会を与えてくれるのです。学習していくうちに、今まで気づかなったことをたくさん発見することができ、これが非常に楽しいのです。

社長目線

中小企業診断士の二次試験は、字数制限のなかで解答を記入していく記述審査です。問題用紙には、ある会社の「設立から現在までの変遷、主力商品、抱える問題、そして今後の展望」などについて書いてあり、それらを元にした問題が出されます。

つまり二次試験では、会社の舵を取る経営者としての目線が必要とされます。自分の知識を土台にし、企業の将来の道すじについて具体的に意見を述べなくてはなりません。

これも、普通に働いているだけではなかなか出来ない、貴重な訓練です。

 

まとめ

ビジネスに結びつく資格試験としては、日商簿記やファイナンシャルプランナーなど多種存在するが、中小企業診断士は多岐の項目を扱う総合的な試験のため、独特である。

試験対策の学習をする中で多分野業種に触れ、広い視野で会社内部と会社外部を見渡せるようになる。